とても『私』とは考えられぬほど、膨張し、変色し、異様なまでに『私』から離脱し
2009年01月01日
「彼等が自己の作品に『私』と一字書くとする。そしてありのままに『私』を語るとする。(実際は彼等の大部分は、形式の上でも『私』の使用を避けてはいるが)。それらの『私』は、今までの私小説作家の『私』に比べたら、とても『私』とは考えられぬほど、膨張し、変色し、異様なまでに『私』から離脱して行こうとする複雑な生物に見える。それらの『私』は、遠距離から操縦される無人のロケット機のように動くこともあるし、死体を解剖するメスのように、はたらくこともある。その時時に、これらの『私』の運動を捕えるためには、作家はいわば絶えず極大の世界から極微の世界へ飛び移る覚悟をする人のように、風圧と熱度と地球の自転による対象の変化を測定していなければならないであろう。私生活の記録という、一見安定した苦業の場は、かくしてこれらの『私』たちの活動によって、内側から枠と殻を破られ、しかも外界の宇宙線を絶えまなく吸収することによって、不安定だが未来性ある試煉の場とならねばならない。このような『私』の並立状態が、宇宙に拡散した
星の群のように眺められる場所に、我々は立っているわけである。」
武田泰淳『戦後作家の並立について』
今日の気分【Infected Mushroom,“Bombat”】
空があまりにも青かったので、何度も何度も繰り返し聴いた。この曲はダリの青空やマグリットの青空を喚起させる。あー。新年そうそう。ヤバイす。
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